躯体防水とは
躯体防水とは
躯体防水は、無機質のコンクリート自体が防水層となる工法です。
SDGsの観点からも優れており、メンテナンスフリーのため、修繕工事時の廃棄物を発生させません。また、メンブレン防水のように、材料に石油製品を使っていないため、地球環境にやさしいといった特徴があります。
コンクリートの防水工法は、様々な種類のものがあります。しかし、大きく分けると2つに分類されます。
1つ目は、コンクリートの表面を覆うことで防水を行う被覆工法 (アスファルト、シート、塗膜、FRP、金属板等)と、コンクリート自体に防水効果を持たせる工法で、コンクリート内の空隙を埋めることによってコンクリートそのものの水密性を高める躯体防水工法です。
躯体防水の利点
- 防水層が剥がれない。
- 将来の防水層の修繕工事が容易。
- 一般的な防水工法を比較して、
無機質だから極端な劣化が少ない。 - コンクリートの耐久性、耐候性
および耐食性に優れている。
防水工法の比較
躯体防水
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- 歩行性
- 車両の通行にも耐え得る重歩行用。
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- 耐候性
- 無機質のコンクリートを使用しているため、コンクリートの極端な劣化がない。
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- 維持管理
- 基本的にはメンテナンスフリー。
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- 改修方法
- クラック等に対してはVカットの上モルタル充填可能。
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- 漏水
- 漏水箇所の発見が早く、部分的な補修が可能。
アスファルト防水+保護コンクリート
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- 歩行性
- 歩行性に優れる。屋上に機械が多く、メンテナンス等で立ち入る頻度が多い場合や屋上利用がある場合でも問題はない。
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- 耐候性
- 紫外線の影響は受けないが、凍害による防水層の劣化が生じる。
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- 維持管理
- 塗膜防水を施す場合はトップコート塗り替えが必要。
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- 改修方法
- 保護コンクリートの上に露出アスファルト防水またはシート防水、塗膜防水等を施すのが一般的。
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- 漏水
- 保護コンクリートがあるため、漏水箇所の発見が難しい。
高耐候塩ビ防水シート
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- 歩行性
- 基本的に非歩行であるが、メンテナンスルート等の歩行部分に保護シートを施工可能。
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- 耐候性
- 耐候性、耐久性に優れた塩化ビニール樹脂を主原料としており、夏季・冬季の寒暖差の影響を受けにくい。
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- 維持管理
- 基本的にはメンテナンスフリー。
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- 改修方法
- 重ね貼り可能。
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- 漏水
- 漏水箇所の発見が容易で部分的な補修が可能。探傷検査も可能。
超速硬化型ウレタン塗膜防水
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- 歩行性
- 弾性ウレタンのため歩行感はよい。(軽歩行)
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- 耐候性
- 高い耐候性がある。
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- 維持管理
- トップコートの定期的な塗り替えが必要。
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- 改修方法
- 重ね貼り可能。
FRP防水
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- 歩行性
- 一般の塗装や防水層に比べ非常に高い摩耗性を有しており重歩行が可能。
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- 耐候性
- 軽量かつ強靭、耐熱性・耐食性・耐候性などに優れている。つなぎ目のなりシームレスな工法。
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- 維持管理
- トップコートの定期的な塗り替え、補修メンテナンスが必要。
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- 改修方法
- 重ね貼り可能。
ステンレスシーム溶接防水
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- 歩行性
- ハゼが多くあるきにくい。(非歩行)
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- 耐候性
- ステンレスまたはチタンを使用するため、極めて耐久性がある。
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- 維持管理
- 基本的にはメンテナンスフリー。
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- 改修方法
- 大規模修繕時には断熱材を含めて葺き替えが必要。